2012-10-03(Wed)

めまいについて(対処法、治療法、予防法)

めまいについて(対処法、治療法、予防法)

今回はめまいに対しての対処法・治療法・予防法に関して御説明いたします。

めまいや随伴する症状(例えば吐き気や嘔吐など)はとても不快なものです。
めまいは多くの場合突然発症することが多いため、とくに初めて発症した場合、当事者および御家族の方々は非常に不安になることと思います。

まずは、めまいが起きた場合の対処法を御説明いたします。

①先日も述べました通り、緊急性のある危険なめまい、つまり脳出血や脳梗塞などの脳からのめまいであればすぐに救命救急対応のできる病院を受診する必要があります。
時間との勝負になることがあります。速やかに救急病院を受診していただきたく存じます。(どのような症状が危険なめまいの症状であるかは、前々回にアップした「めまいについて」を御参照ください)

②ひとまず危険なめまいではなさそう、と判断された場合、発作が治まるまで安静を保ってください。なるべく部屋を暗く、静かな状態にして楽な姿勢をとることが大事です。

③どうしても不安になりパニックに陥りがちですが、そのような不安な気持ちはかえってめまいを増悪させることがあります。危険なめまいでなければ、あわてず落ち着くことがとても重要です。

④ある程度落ち着いて移動が可能になれば、当院やお近くの耳鼻咽喉科あるいは内科を受診して下さい。
(危険なめまいではなさそうだがまったく改善の兆しがない場合、しんどいところ大変申し訳ありませんが、やはり緊急を要するめまいの可能性も否定できないため救急対応のできる病院を速やかに受診するべきと考えます)

続いて、一般的な治療法について御説明いたします。

危険なめまい、緊急を要するめまいでないことを確認できた場合、内服(場合によって注射、点滴)、リハビリ、理学療法、外科的治療つまり手術、これらが治療法となります。

内服症状に応じて薬を選択し処方します。具体的には下記のようなものがあります。
抗めまい薬・循環改善薬以前御説明いたしました通り、脳や耳(特に内耳)はバランスを保つ働きをしています。その脳や内耳は十分な血液が無いと上手く働くことができません。また血液だけでなく、リンパ液の流れも悪くなると内耳の循環が悪くなり、むくんでしまうことでめまいが生じます。
そのため、脳や内耳の血流やリンパの流れをよくする薬を用いてめまいを改善させます。

吐き気止めめまいは吐き気や嘔吐を伴うことがしばしばあります。
そこで、吐き気止めを用いて症状を緩和していきます。

抗不安薬
めまいが生じると不安が募るのは致し方ないことと思います。
そしてその不安感はめまいを増悪させてしまうこともあるため抗不安薬にて悪循環を解消していきます。

ビタミン薬
ビタミンは末梢神経の障害を修復する働きがあります。そこでビタミン薬を投与することもあります。

ステロイド
ステロイドには多くの効果があります。
中でも抗炎症作用、抗浮腫作用が内耳に働くことで、めまいを改善していきます。
また以前御説明しました通り、急性感音難聴に対してもステロイドを用います
めまいに急性感音難聴が合併している場合、ステロイドを投与していくことがあります。

浸透圧利尿薬
以前、メニエール病について御説明いたしましたが、メニエール病は内耳に水が過剰にたまる病態ですので、水をひく目的で浸透圧利尿薬を用いることがあります

リハビリテーション
当院ではヘルストロンを導入します。
ヘルストロンとはリハビリ機器の名称です。
(ヘルストロンに関しての説明は近日中にアップいたします)
ヘルストロンの効能の一つに循環改善があります。循環改善によりめまいを改善していきます。

理学療法
良性発作性頭位眩暈症という病気があります。具体的には後日御説明いたしますが、簡単に御説明いたしますと内耳のバランスをとる器官の一つである半規管に耳石という細かい石が入り込み、頭の位置によって耳石がコロコロ動くことでリンパ液に流れが生じ、バランスが崩れめまいが生じるという病気です。
理学療法とは、この迷入した耳石を半規管から追い出そうとする方法です。
半規管は左右に3つずつ存在します。よってどこの半規管に耳石が入り込んだかはっきり確定できればこの治療を行うことができます。(実際にはなかなか難しいのですが・・・)

手術療法
先ほどのメニエール病で特にコントロールが困難な場合、過剰な内耳の水を排出する手術を行うことが稀にあります

以上が、めまいに対する一般的な治療法です。

最後に少しでもめまい発作を防ぐためにどうするべきか、を御説明いたします。
経験上、不眠、疲れやストレスがたまっている時にめまい発作を生じやすいように思います。
よって、当たり前のことですが睡眠、休養を十分に取り、適度な運動を行い、上手く気分転換をはかるということがとても大事なこととなります
また、規則正しい食事摂取や飲酒・喫煙を控えめにすることも非常に重要なポイントであると考えます。

以上、今回はめまいの対処法、治療法、予防法について御説明いたしました。
近日中にめまいを引き起こす代表的な疾患やヘルストロンについて御説明いたします。

いつも更新が遅くて誠に申し訳ございません。
今後とも閲覧いただきたく切磋琢磨してまいります。何卒よろしくお願いいたします。



[名古屋市名東区 一社 まえはら耳鼻咽喉科]
2012-09-25(Tue)

めまいについて(診断法)

今回はめまいに関して当院で主に行ってまいります診断法(検査法)につき御説明いたします。


・まず、どんな病気でも同じですがめまいについての問診を行います。
初めてのめまいか、いつからか、どのような体勢でめまいを感じやすいか、聴こえの低下や耳鳴りはないか、他に随伴する症状はないか、などです。それらの情報からある程度診断に近づくこともあります。

・耳鼻科的所見(特に耳内)に異常がないかを調べます。
鼓膜に穿孔はないか、耳内に炎症はないか、などを観察します。中耳炎が内耳に影響を及ぼすことがあるためです。

頭からのめまいではないかを調べます。
脳からは12対の脳神経と呼ばれる大事な神経が出入りします。それぞれ大事な役割があり、それらの働きに異常がないかを検索していきます。

・聴力検査にて聴こえの低下がないかを検査します。
聴こえの低下が急性のものであれば、急性感音難聴に伴うめまいとして速やかな治療が必要となります。

眼振という眼の動きを観察します。
めまい発作がある場合、自分の意志とは無関係に眼が動きます。
上下左右のいずれかに眼が緩やかに動き、ある時点にきたらスッと急速に反対方向に戻る、この一連の動きを眼振といい、発作状態であることの証拠となります。
私達が眼振の有無を調べる主な方法は①注視眼振検査と②頭位眼振検査・頭位変換眼振検査です。
①注視眼振検査とは正面、左右、上下の各方向を注視していただき眼振の有無を検索し、眼振があれば病的と判断します。そして眼の動き方をみて診断に近づけていきます。
②頭位眼振検査ならびに頭位変換眼振検査は診察ベッド上で行う検査になります。
頭位眼振検査とは一般的に仰臥位の状態で頭の位置を正面、左右、懸垂頭位と変えていくことで誘発される眼振を観察する方法です。
頭位変換眼振検査とは頭位を座位と懸垂頭位の間で急速に移動させることにより生じる眼振を観察する方法です。
両検査とも注視眼振検査と同様、眼の動き方をみて診断に近づけていきます。
これらの検査は非注視の条件で観察する必要があるため、フレンツェル眼鏡などを用いて行います。

画像検査を行います。
当院ではレントゲン撮影が行えます。腫瘍や炎症などで耳の周辺の骨が破壊されていないかなどを観察します。
精査が必要と判断した場合、CTやMRIを他院に依頼することもあります。

以上の検査で、まずは緊急性の有無、つまり頭からのめまいではないか、急性感音難聴に伴うめまいでないかを判断します。そしてその後も経過を観察し診断に近づけていきます
必ずしも1回の診察で診断できるとは限りません長期的に経過をみないと診断できないケースもあります。また、大きな病院でしか行えない検査もあり診断が難しい場合は、精査目的に御紹介させていただくこともできます。

以上、当院で行えるめまいの検査について御説明いたしました。
次回は治療に関して御説明いたします。



[名古屋市名東区 一社 まえはら耳鼻咽喉科]
2012-09-09(Sun)

めまいについて

以前、急性感音難聴の疾患の中で、めまいの代表的な疾患であるメニエール病に関して御説明いたしました。

今回、めまいとは?というところから御説明いたします。

まず、私達は、耳(とくに内耳の前庭、半規管)、眼、筋肉や関節などから自分の体の傾きや動きなどの情報を収集します。その情報は脳に送られ脳で集められ処理されます。そして処理された情報がまた耳、眼、筋肉などに働くことで体のバランスが保たれています。

めまいとは、これらの情報収集の異常やズレ、あるいは情報の統合のトラブルで生じるものなのです。

めまいの原因となる病気には様々なものがあります。

頻度として多いのが耳、特に内耳の前庭や半規管に異常が生じることで起こるめまいです。
具体的には
 ・メニエール病
 ・良性発作性頭位めまい症
 ・突発性難聴に伴うめまい
 ・前庭神経炎
 ・外リンパ瘻
などです。

耳以外にも脳の病気、全身の病気によってもめまいは生じます。
具体的には
○脳血管障害
 ・脳出血
 ・脳梗塞
 ・椎骨脳底動脈循環不全症
○腫瘍
 ・聴神経腫瘍
 ・脳腫瘍
○不整脈
 ・房室ブロック
 ・心房細動
○血圧の変動
 ・高血圧
 ・起立性低血圧
○その他
 ・不安や心配ごとなど心理的要因
 ・貧血
 ・低血糖
 ・首・肩の筋肉の過緊張や頚椎の異常
                    などです。

中には診断確定に苦慮するタイプや原因不明のめまいもあります。

その中で、まず命に関わる、あるいは後遺症を残すといった緊急を要するめまいでないかどうかを判断することが重要と考えます。

つまり、まずは脳の病気を否定する必要があります。
 ・立ちあがった途端にふらつきがひどくなる
 ・歩行時にふらつきの程度がひどい
 ・ろれつが回らない(上手く話せない)
 ・体の半分がしびれたり、感覚が鈍くなっている
 ・体の半分が動かしにくい
 ・頭痛、首の痛みが激烈である
以上のような症状を伴う際には、特に脳出血、脳梗塞の可能性もあるため速やかに対応できる病院を受診するべきです。

続いて、急性感音難聴を伴うめまいも先述しました通り速やかな治療が必要となるため、めまいもするし急に聴こえが悪くなった、という方はできるだけ早く耳鼻科を受診するべきと考えます。

以上のように、「危険なめまい」をまず否定したうえで私達耳鼻科医は診断⇒治療へと進めていきます。
次回はめまいの検査、治療についてお話しする予定です。



[名古屋市名東区 一社 まえはら耳鼻咽喉科]
2012-08-21(Tue)

急性感音難聴 ~音響外傷について~

今回は音響外傷についてご説明いたします。

爆発音といった瞬間的な強大音にさらされたり、ライブやクラブのような場所で数時間にわたり持続的な大きな音にさらされることによって急性感音難聴になることがあります。
これを音響外傷と呼びます。

症状は、大きな音にさらされた直後から数時間のうちに難聴、耳鳴りを発症します。
一側性のこともあり両側性のこともあります。

教科書的に、聴力検査では4000Hz周辺の高い音の聴こえが悪くなると言われていますが、他の周波数の聴こえも悪くなる例も少なくありません。

治療に関してですが、急性感音難聴である点から発症早期であれば、突発性難聴に準じた治療(点滴、内服)を行います。
音響外傷に関してもやはり必ず治るものではありませんが、発症後速やかに治療を開始することで少しでも治る可能性を高めることができると考えます。
大きな音を聞いた後で聴こえが悪くなるようであれば、とにかく速やかに受診していただくようお願いいたします。

ちなみに・・・、類似した疾患に騒音性難聴というものがあります。これは主に職業性の要素が強いものなのですが、長年騒音にさらされた結果難聴になったものを指します

つまり急性ではないため、不可逆性の障害であり、残念ながら治すことはできません
よって、騒音性難聴にならないように予防することが重要です。
大きな音にさらされる職場に勤めてらっしゃる方々には、予防目的に耳栓を装用するようお勧めします

騒音性難聴でも4000Hzを中心とした高音の難聴が認められます。(音響外傷よりもその傾向は高いと言われています)
(そういった特徴があるため健康診断での聴力検査は、通常の会話の音域である1000Hzと騒音性難聴で悪化しやすい4000Hzを調べるのです。)

急性感音難聴の代表的な疾患について御説明してまいりましたが、今回で急性感音難聴シリーズはひとまず終了といたします。



[名古屋市名東区 一社 まえはら耳鼻咽喉科]
2012-07-24(Tue)

急性感音難聴 ~外リンパ瘻について~

今回は外リンパ瘻という病気についてご説明します。

まず解剖の話から・・・。
内耳(中耳の奥の部分)には聴覚(聴こえ)に関わる蝸牛(かぎゅう)平衡(バランス)に関わる前庭(ぜんてい)・半規管(はんきかん ちなみに3つあるので三半規管とも呼びます)があります。
それらは骨でできていますが内腔はリンパ液という液体で満たされています。
リンパ液には2種類あり、外リンパ液と内リンパ液に分かれます。

内耳と中耳には薄い膜で隔てられている部分があり、その膜の破綻からリンパ液(具体的に言うと外リンパ液)が漏出し、内耳の中心の部分(正確には膜迷路といいます)が虚脱を起こすことで高度の難聴やめまいが生じます。

奇形、耳の手術によるもの、梅毒、外傷が原因といわれておりますが、特発性、つまり原因不明のものも多いと言われております。

いきみ、鼻かみがきっかけで起こることもあります。
発症時にポンッと破裂するような音がしたり、発症後水が流れるような耳鳴りがすることもあるため診断確定に問診が重要になります。

上記の他に、耳を指で塞ぐとめまいが悪化したり、難聴が日に日に悪化し数日で高度難聴になった場合も本疾患を疑う条件になります。

所見としては、聴力検査において他の急性感音難聴の疾患と同様に感音難聴の聴力像を呈します。
そして先ほど述べました通り発症から数日で高度難聴に至る場合があります。

治療ですが、頭を高くする、あるいは患側耳を下にしないようにして安静に保つことがまず大事です。
日常診療上、先述の突発性難聴やメニエール病との鑑別が難しく、初診の段階で外リンパ瘻と診断確定できないことも多いので突発性難聴の治療に準じた点滴治療を並行して行うことが多くあります。
それでもなお症状が悪化したり、先述した外リンパ瘻を疑う条件を認めた場合手術を行うことがあります。

画像やその他の検査で外リンパ瘻があるかどうかはわからないため、診断を確定するには手術で中耳の中を観察し漏出が無いかどうかを目で確認するしかありません

手術は全身麻酔下に行います。中耳を顕微鏡的に観察し内耳からの液の漏出が認められた場合、自身の組織を用いて漏出部をフタして漏出を止めます。

この疾患も必ず治るとは言えません
めまいはある程度落ち着いてくることが多いですが、難聴は残ってしまうことが多々あります

そういった後遺症を少しでも軽減するにはやはり加療を速やかに行うべきと考えます


上記の症状やエピソードがあった場合、速やかに御相談ください
当院では残念ながら手術はできませんが、症状や所見、経過から外リンパ瘻と判断した場合、責任をもって関連病院へ御紹介いたします。



[名古屋市名東区 一社 まえはら耳鼻咽喉科]
プロフィール

isshajibika

Author:isshajibika
はじめまして(^^) 名東区一社在住耳鼻科医師の前原一方と申します。
この度長年お世話になりました愛知医科大学耳鼻咽喉科を退職し、平成24年11月12日、一社駅前にて開業させていただく事になりました。
地域の皆様に心から喜んでいただける医院作りを目指し、猛勉強中です。どうぞ宜しくお願い致します。
私は3人の子の父親でもあります。私達夫婦や子ども達がお世話になっている名東区の地域の皆様に少しでもご恩返ししたいと思っております。
またこのブログでは近所の方や、お母様方からよくされる質問や疑問にもお答えしています。

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR