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2012-09-25(Tue)

めまいについて(診断法)

今回はめまいに関して当院で主に行ってまいります診断法(検査法)につき御説明いたします。


・まず、どんな病気でも同じですがめまいについての問診を行います。
初めてのめまいか、いつからか、どのような体勢でめまいを感じやすいか、聴こえの低下や耳鳴りはないか、他に随伴する症状はないか、などです。それらの情報からある程度診断に近づくこともあります。

・耳鼻科的所見(特に耳内)に異常がないかを調べます。
鼓膜に穿孔はないか、耳内に炎症はないか、などを観察します。中耳炎が内耳に影響を及ぼすことがあるためです。

頭からのめまいではないかを調べます。
脳からは12対の脳神経と呼ばれる大事な神経が出入りします。それぞれ大事な役割があり、それらの働きに異常がないかを検索していきます。

・聴力検査にて聴こえの低下がないかを検査します。
聴こえの低下が急性のものであれば、急性感音難聴に伴うめまいとして速やかな治療が必要となります。

眼振という眼の動きを観察します。
めまい発作がある場合、自分の意志とは無関係に眼が動きます。
上下左右のいずれかに眼が緩やかに動き、ある時点にきたらスッと急速に反対方向に戻る、この一連の動きを眼振といい、発作状態であることの証拠となります。
私達が眼振の有無を調べる主な方法は①注視眼振検査と②頭位眼振検査・頭位変換眼振検査です。
①注視眼振検査とは正面、左右、上下の各方向を注視していただき眼振の有無を検索し、眼振があれば病的と判断します。そして眼の動き方をみて診断に近づけていきます。
②頭位眼振検査ならびに頭位変換眼振検査は診察ベッド上で行う検査になります。
頭位眼振検査とは一般的に仰臥位の状態で頭の位置を正面、左右、懸垂頭位と変えていくことで誘発される眼振を観察する方法です。
頭位変換眼振検査とは頭位を座位と懸垂頭位の間で急速に移動させることにより生じる眼振を観察する方法です。
両検査とも注視眼振検査と同様、眼の動き方をみて診断に近づけていきます。
これらの検査は非注視の条件で観察する必要があるため、フレンツェル眼鏡などを用いて行います。

画像検査を行います。
当院ではレントゲン撮影が行えます。腫瘍や炎症などで耳の周辺の骨が破壊されていないかなどを観察します。
精査が必要と判断した場合、CTやMRIを他院に依頼することもあります。

以上の検査で、まずは緊急性の有無、つまり頭からのめまいではないか、急性感音難聴に伴うめまいでないかを判断します。そしてその後も経過を観察し診断に近づけていきます
必ずしも1回の診察で診断できるとは限りません長期的に経過をみないと診断できないケースもあります。また、大きな病院でしか行えない検査もあり診断が難しい場合は、精査目的に御紹介させていただくこともできます。

以上、当院で行えるめまいの検査について御説明いたしました。
次回は治療に関して御説明いたします。



[名古屋市名東区 一社 まえはら耳鼻咽喉科]
2012-09-09(Sun)

めまいについて

以前、急性感音難聴の疾患の中で、めまいの代表的な疾患であるメニエール病に関して御説明いたしました。

今回、めまいとは?というところから御説明いたします。

まず、私達は、耳(とくに内耳の前庭、半規管)、眼、筋肉や関節などから自分の体の傾きや動きなどの情報を収集します。その情報は脳に送られ脳で集められ処理されます。そして処理された情報がまた耳、眼、筋肉などに働くことで体のバランスが保たれています。

めまいとは、これらの情報収集の異常やズレ、あるいは情報の統合のトラブルで生じるものなのです。

めまいの原因となる病気には様々なものがあります。

頻度として多いのが耳、特に内耳の前庭や半規管に異常が生じることで起こるめまいです。
具体的には
 ・メニエール病
 ・良性発作性頭位めまい症
 ・突発性難聴に伴うめまい
 ・前庭神経炎
 ・外リンパ瘻
などです。

耳以外にも脳の病気、全身の病気によってもめまいは生じます。
具体的には
○脳血管障害
 ・脳出血
 ・脳梗塞
 ・椎骨脳底動脈循環不全症
○腫瘍
 ・聴神経腫瘍
 ・脳腫瘍
○不整脈
 ・房室ブロック
 ・心房細動
○血圧の変動
 ・高血圧
 ・起立性低血圧
○その他
 ・不安や心配ごとなど心理的要因
 ・貧血
 ・低血糖
 ・首・肩の筋肉の過緊張や頚椎の異常
                    などです。

中には診断確定に苦慮するタイプや原因不明のめまいもあります。

その中で、まず命に関わる、あるいは後遺症を残すといった緊急を要するめまいでないかどうかを判断することが重要と考えます。

つまり、まずは脳の病気を否定する必要があります。
 ・立ちあがった途端にふらつきがひどくなる
 ・歩行時にふらつきの程度がひどい
 ・ろれつが回らない(上手く話せない)
 ・体の半分がしびれたり、感覚が鈍くなっている
 ・体の半分が動かしにくい
 ・頭痛、首の痛みが激烈である
以上のような症状を伴う際には、特に脳出血、脳梗塞の可能性もあるため速やかに対応できる病院を受診するべきです。

続いて、急性感音難聴を伴うめまいも先述しました通り速やかな治療が必要となるため、めまいもするし急に聴こえが悪くなった、という方はできるだけ早く耳鼻科を受診するべきと考えます。

以上のように、「危険なめまい」をまず否定したうえで私達耳鼻科医は診断⇒治療へと進めていきます。
次回はめまいの検査、治療についてお話しする予定です。



[名古屋市名東区 一社 まえはら耳鼻咽喉科]
プロフィール

isshajibika

Author:isshajibika
はじめまして(^^) 名東区一社在住耳鼻科医師の前原一方と申します。
この度長年お世話になりました愛知医科大学耳鼻咽喉科を退職し、平成24年11月12日、一社駅前にて開業させていただく事になりました。
地域の皆様に心から喜んでいただける医院作りを目指し、猛勉強中です。どうぞ宜しくお願い致します。
私は3人の子の父親でもあります。私達夫婦や子ども達がお世話になっている名東区の地域の皆様に少しでもご恩返ししたいと思っております。

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