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2012-07-17(Tue)

急性感音難聴 ~聴神経腫瘍について~

今回は聴神経腫瘍についてご説明いたします。聴神経腫瘍も急性感音難聴をきたす可能性のある疾患の一つです。

聴神経とは聴こえの神経(蝸牛神経と言います)とバランス(平衡)の神経(前庭神経と言います)を合わせた呼び名です。

聴神経は内耳から出て内耳道という骨で囲まれた筒状の道を通り脳に伝わります。
内耳道には前述の蝸牛神経と前庭神経の他に顔面神経(顔を動かすための神経)も走行しています。

聴神経腫瘍とは聴神経にできる腫瘍のことです。

腫瘍は内耳道内にできるため、内耳道を走行する神経の障害に伴う症状が出現します。
つまり、難聴耳鳴りめまいが主な初期症状です。腫瘍が大きくなると顔面神経麻痺を生じたり、あるいは腫瘍が内耳道から進展し脳の方へ影響が出てくると頭痛吐き気意識障害歩行障害嚥下障害などの症状が出現します。

この疾患で気をつけなければならないのは突発性難聴との鑑別です。どちらかの耳の聴こえが急に悪くなることがあるため(約10から20%)、突発性難聴として経過を診ていくうちに聴神経腫瘍であると判明することがあるのです。

(以前から説明しております通り、急に発症する神経性の難聴(急性感音難聴)のうち突発性難聴は治療の効果が得られる期間が決まっているため、後に別の疾患であると判明する可能性があってもまずは突発性難聴として加療し、必要に応じて検査を並行して行うことが一般的です。)

鑑別の方法ですが、当院でも行える検査として標準純音聴力検査レントゲンがあります。

聴神経腫瘍における標準純音聴力検査ではさまざまな聴力のパターンを示します。
ただし、15%程度の方に特徴的なパターンを示すことがあり、そのような結果が得られた場合には腫瘍を疑い、さらなる精査を行います。

画像検査ですが、現在、CTやMRIの発達により、それらで診断できる率が高くなっています。当院ではCT,MRIはないためレントゲンでの診断になります。
レントゲン内耳道の幅の著しい左右差が無いか確認します。(腫瘍はどちらか一側にできるため、内耳道幅の差があれば腫瘍を疑います)
場合によっては他院でCT、MRIをお願いすることもあり、より正確な診断ができるよう努めてまいります。

突発性難聴ではこういった病気がかくれている事があるため、必ず経過観察が必要になります。

治療は手術あるいは放射線が行われます。
よって疑われる場合には速やかに専門機関に御紹介いたします。



[名古屋市名東区 一社 まえはら耳鼻咽喉科]
2012-07-10(Tue)

急性感音難聴 ~メニエール病について~

今回は急性感音難聴のうちメニエール病について説明いたします。

めまいと言えばメニエール病、というくらい皆さんよく御存じの病気ではないでしょうか。

めまいの総論に関してはまた改めてアップしますが、めまいを患っている患者さんの中でメニエール病と診断されるのは、実はほんのひと握りの方です。(人口10万人に対して約20名弱との報告があります。)

そしてめまいだけではなく難聴(急に起こる神経性難聴、つまり急性感音難聴です)や耳鳴りも併発します。

特徴は難聴、耳鳴り、めまい(回転性)を繰り返す病気であるということです。
つまり初めて起こった難聴、耳鳴り、めまいである場合、先日御説明した突発性難聴との鑑別がつかないことがあります。そのため突発性難聴と同様に長期的な経過観察が重要です。

原因ははっきりしていませんが、内耳(中耳の奥にある、聴こえ、バランスに関わる神経の部分)に水(内リンパ液)が過剰に溜まってしまうということはわかっています。(この状態を内リンパ水腫と呼びます。)

症状は前述の通り、めまい(ほとんどが回転性10数分から数時間続きます。吐き気や嘔吐などの自律神経症状を伴うことがあります。)、難聴(ほとんどが一側性で発症初期には低音域の難聴が多く、自覚的には耳閉感を伴うことが多いです。発作が落ち着くと一旦は正常まで改善することがありますが、長い目でみると発作を繰り返すことで徐々に聴力が低下していきます。)、耳鳴りです。そしてそれらの症状は繰り返し起こります。発作が起こるきっかけはストレスや疲労、不眠であることが多いと診察していて感じます。

治療ですが他のめまい同様、発作状態のときは安静、臥床、点滴が主の治療になります。
さらに神経性の難聴を伴う場合、ステロイドも併用し加療していきます。
めまいがある程度落ち着いてきたら抗めまい薬や利尿薬(病態が水腫であるため水を引く目的)などを内服していただき経過をみていきます。

確かに発作を繰り返す病気ではありますが、普段からの体調管理により発作を少しでも予防することができると思います。具体的にはストレスや疲れをため過ぎない、睡眠時間をしっかりとり、栄養もバランスよく摂取する。当たり前のようですがとても大事なことであると思います。



[名古屋市名東区 一社 まえはら耳鼻咽喉科]
2012-07-03(Tue)

急性感音難聴 ~突発性難聴について~

突発性難聴

今回は急性感音難聴のうち突発性難聴についてお話します。

読んで字のごとく突然聴こえが悪くなる病気です。
突発性難聴はほとんどの場合、一側性ですが両側に起こることも絶対にないとは言い切れません。
症状として耳鳴やめまいを伴うことがあります。
残念ながらいまだにはっきりとした原因はわかっていません。
何らかの原因により、内耳(中耳のさらに奥にある神経の部分)の音を感じる神経細胞が障害を受けて発症します。
病態としてはこれまでの様々な臨床研究から、内耳への血液の流れが悪くなった状態つまり「内耳の血流障害」と考えられています。

原因がまだわかっていないので確実な治療は決まっていませんが「内耳の血流障害」が最も考えられるため、細かい部分の血流を改善させる治療が推奨されています。
いずれの治療も、発症後できるだけ早期に開始することが望まれます。
当院では
ステロイド(内服や点滴)
血流を改善させ得る種々の薬剤(内服や点滴)
・(末梢神経障害の修復を目的として)ビタミンB12(内服や点滴)
ヘルストロン(後日説明いたしますが血流を良くするリハビリ機器です)
を使用し治療を行います。
(但し、糖尿病などの基礎疾患があり治療の副作用の出現に注意が必要である場合は入院のできる施設に御紹介することもあります。
あるいは入院治療を御希望とされる際には速やかに御紹介いたします。)

(当院では行えませんが)他に有効とされている治療法は
・ステロイド鼓室内注入:ステロイドを鼓室、つまり中耳に直接注入する方法
・高圧酸素療法:高濃度の酸素を投与する方法
・星状神経節ブロック:頸部の交感神経に麻酔をし、血管を拡張させて血流を改善する方法
などがあります。

日本中どこの施設でも上記のうちいくつかを各医療施設の方針として組み合わせで行なっているのが現状です。残念ながら統計学的検証で、「これが他の治療より間違いなく効いて、安全性にも問題ない」 というものはありません。したがって、現時点では突発性難聴に対して飛びぬけた治療は存在しない、と言わざるを得ないと思います。

また、治療以外にも内耳の血流を少しでも良くするような日常の心がけが必要です。 睡眠を十分取り、心身をリラックスさせることは非常に重要です。精神的・肉体的ストレスを少しでも緩和させるように努力しましょう。 ストレスがあると自律神経を介して、細い血管は収縮して血流は低下します。タバコはニコチンが末梢血管を細くしてしまいますので非常に悪影響です。

以前、ご説明いたしました通り全ての人が完治するわけではありません。おおよそ3分の1は完治し、3分の1は回復するが難聴を残し、3分の1は改善しないと言われています。 難聴は改善しても耳鳴り、ふらつきなどが後遺症となることもあります。突発性難聴は再発しないことが一つの特徴ですが、ごくまれに反対側の耳が突発性難聴になることがあります
また、経過をみていくうちに実は他の病気であることが判明することもあります
したがって、この病気になった後は耳鼻咽喉科での定期的な聴力検査をお勧めします



[名古屋市名東区 一社 まえはら耳鼻咽喉科]
2012-06-11(Mon)

難聴

突然耳が聞こえにくくなったら、早めの受診をおねがいします


「聞く」という感覚は生活していく上で非常に重要な感覚であり、耳の聞こえが悪くなると著しく生活の質が損なわれます。
ひとくちに耳の聞こえが悪くなるといっても様々な原因・疾患があり、その原因や疾患別に治療方法も異なってきます。

中でも急に耳が聞こえにくくなる(急性難聴)は特に注意が必要です
急性難聴の中には、神経の異常による難聴が含まれます。

この、神経の異常による急性難聴は、発症してから2週間が勝負であり、この時期を越えると治療効果は著しく低下すると言われています。
しっかりとした治療を速やかに行えば治療効果が得られますが、それでも必ず元の聴力に戻せるとは限りません。そして聴こえの神経の障害は2~3週間程度で固定すると言われています。発症から長くても1カ月以上経過した難聴は治りづらいと考えた方がよいと思います。

急に耳が聞こえにくくなったら、疾患・原因が何かを明らかにし、できるだけ早期に治療を開始して治療効果をあげるためにも、速やかに耳鼻咽喉科を受診していただきますようお願いします


さて、急に聴こえの神経が異常をきたし難聴になる、という状態を一言で「急性感音難聴」と言います。
この「急性感音難聴」の中には多くの疾患があります。
今後、代表的疾患を一つずつ説明していきたいと思います。



[名古屋市名東区 一社 まえはら耳鼻咽喉科]
2012-05-31(Thu)

異物

異物について

お子さんでは小さなおもちゃの部品や消しゴム、ピーナッツなどの豆類を自分で耳や鼻に詰めてしまったり、魚の骨がのどに刺さったり、虫が耳に入ってしまって出てこなくなってしまったなど、耳鼻科ではこれら異物の除去を行うことがしばしばあります。

重要なポイントは御自身で何とか取ろうと無理をしないことです
またお子さんの場合、あわててお子さんを叱らないようにしてください。いきなり怒るとビックリしてひっくり返ったり泣き出したりして危険です。

耳で言いますと、鼓膜の奥の内耳という神経の部分を傷つけると神経性の難聴や耳鳴り、めまいを合併し、異物除去だけではなく特殊な治療が必要になることがあります。

鼻、のどでは空気の通り道がふさがれると息ができなくなり窒息し命にかかわることもあります。また、鋭利な物でのどや食道に傷がつくと縦隔という肺と肺の間の部分に感染が生じ致命傷に至ることもあります。(よく魚の骨がのどに刺さった時にご飯を丸飲みするよう教えられた方も多いと思いますが、傷が生じる可能性があるので絶対行わないでください

魚の骨がノドに刺さった場合や、耳や鼻に物を詰めて取れなくなってしまったり、耳に虫が入った場合などは耳鼻咽喉科で取る事ができます

命にかかわるようなものもありますので、緊急性のあるものはすぐに救急車で対応していただき、そのほかの異物に関しましては速やかに耳鼻咽喉科を受診していただきたいと思います。


[名古屋市名東区 一社 耳鼻咽喉科]
プロフィール

isshajibika

Author:isshajibika
はじめまして(^^) 名東区一社在住耳鼻科医師の前原一方と申します。
この度長年お世話になりました愛知医科大学耳鼻咽喉科を退職し、平成24年11月12日、一社駅前にて開業させていただく事になりました。
地域の皆様に心から喜んでいただける医院作りを目指し、猛勉強中です。どうぞ宜しくお願い致します。
私は3人の子の父親でもあります。私達夫婦や子ども達がお世話になっている名東区の地域の皆様に少しでもご恩返ししたいと思っております。
またこのブログでは近所の方や、お母様方からよくされる質問や疑問にもお答えしています。

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